「SAPコンサル つまらない」と検索する人は、たぶん忙しくないわけではありません。

私のところに来る相談でも、この言葉は「休めない」とセットでは出てきません。出てくるのは、残業は減った、案件も切れていない、でも手応えがないという状態です。同じ設定を、去年と同じ順番で入れている。会議には出ているが、決めているのは自分ではない。今日やったことを、夜に思い出せない。

先に結論を書きます。

つまらないは、しんどいの軽い版ではない。別の問題であり、直し方も別である。

しんどさは負荷の問題なので、減らす方向に手を打ちます。つまらなさは手応えの不足なので、減らしても消えません。減らした先にあるのは、暇な退屈です。

この記事で扱わない範囲を、先に書いておきます。

この記事が扱うのは、その手前にある退屈の出どころと、単価を落とさずに担当範囲を広げる順番です。

私は経理からSAPの財務会計(FI)の導入に移り、プロジェクトを預かる側になってから独立しました。以下は、その過程で自分が通った場所と、外部の人を受け入れる側に回ってから見てきた範囲の観測です。人数を数えた統計ではありません。

つまらないと、しんどいは、別の場所から来ている

まず、この2つを分けておきます。混ぜたまま動くと、たいてい失敗するからです。

しんどいつまらない
出どころ負荷が多い手応えが少ない
体に出る形眠れない・休んでも抜けない朝、仕事の内容を思い出したくない
減らすと楽になる変わらない(暇な退屈になる)
効く方向引き算(量・範囲・責任を減らす)足し算(判断・範囲・接点を増やす)
間違えると潰れる意味もなく職場だけが変わる

いちばん危ないのは、つまらなさを負荷の問題だと思って、稼働の軽い案件に移ることです。軽い案件は、たいてい範囲も狭い。つまり手応えはさらに減ります。移って3か月で同じことを言い始める人を、私は何人か見ています。

反対に、しんどさを手応えの問題だと思って範囲を増やすのも危ない。これは単純に量が増えるだけなので、潰れます。

だから最初にやるのは、自分のそれがどちらかを決めることです。見分け方は1つで足ります。

1か月まるごと稼働が半分になったとして、その1か月を楽しみに思えるか。

思えるなら、しんどさの問題です。想像しても何も嬉しくないなら、つまらなさの問題です。

退屈の出どころを、3つに分ける

つまらなさの側だと決まったら、次は出どころを分けます。SAPの現場で私が見てきた範囲では、だいたい次の3つのどれかに落ちます。

出どころ1:同じ工程を、何度も繰り返している

導入プロジェクトは、工程の形がある程度決まっています。要件を聞く、設計する、設定する、テストする、移行する、稼働を見る。

ここで、毎回同じ工程だけを担当している状態が続くと、2案件目の途中から手応えが落ちます。1案件目は全部が新しいので気づきません。2案件目で「これ、前と同じだ」と気づく。3案件目で作業になります。

特に起きやすいのが、設定とテストの区間です。この区間は手順が固まっているほど品質が安定するので、できる人に繰り返し当てられます。評価されているからこそ、同じ場所に留め置かれる。ここが厄介なところです。

出どころ2:担当範囲が、モジュールや顧客で固定されている

2つ目は、工程ではなく範囲が動かない場合です。

FIならFIだけ。1社の保守に何年も入りっぱなし。あるいは、大きなプロジェクトの中の1機能だけを任され続けている。

この状態は、**外から見ると専門性に見えます。**実際、深さは積み上がります。ただ、本人の手応えは別で、新しい問いが来なくなると落ちます。分かっていることを、分かっている手順で処理する日が続くからです。

出どころ1との違いは、やっていることが難しいかどうかではありません。難しくても、同じ範囲の中だけで難しいなら、手応えは減っていきます。

出どころ3:判断に関われない立場にいる

3つ目がいちばん深いところです。

要件を聞いてくる人がいて、決める人がいて、その決定を形にする人がいる。自分が3番目に固定されていると、仕事の中身がどれだけ複雑でも、手応えは薄くなります。

分かりやすい症状が2つあります。

  • 会議に出ているが、自分の発言で決まったことが今月ゼロ
  • クライアントから見て、自分が誰の下にいる人かで認識されている(名前で呼ばれない)

これは能力の問題ではなく、席の問題です。だから、頑張って質を上げても解けません。席を動かすしかない。

3つは、混ざって出てくる

実際には、この3つは重なって出ます。ただ、いちばん重いものが1つあるはずです。

自分のがどれかを決めるための問いを、1つずつ置いておきます。

出どころ自分に投げる問いはいなら
1. 工程の繰り返し来月の予定を、もう説明できてしまうか工程が固まっている
2. 範囲の固定この1年で、初めて調べた業務が1つでもあったかなければ範囲が固まっている
3. 判断の外今月、自分の発言で変わった決定が1つでもあったかなければ席が外側にある

3つとも当てはまる場合は、**3から手を付けてください。**1と2は、席が外側にあることの結果として起きていることが多いからです。

出どころ別に、効く手と効かない手

分けたら、手を選びます。ここでよくあるのが、別の出どころに効く手を打ってしまうことです。

効く手効かない手(よく打たれる)
1. 工程の繰り返し前後の工程に1つ足す(要件側か、稼働後の側へ)案件を変える。工程の担当が同じなら、同じことが起きる
2. 範囲の固定隣の領域に、小さく1回関わる資格や研修を増やす。範囲が動かないなら、使う場がない
3. 判断の外決める場に、自分の名前で1回入る質を上げる。席は、質では動かない

補足を3つ書きます。

工程を足すとき、どちらに足すか。 私は、前(要件・構想の側)より先に、後ろ(移行・稼働後の側)に足すほうが入りやすいと思っています。理由は単純で、後ろの工程は人が足りなくなりがちだからです。特に稼働後の最初の月次決算は、人が要るのに敬遠されます。ここに入ると、**自分が設計したものが現場でどう動くかを初めて見られる。**手応えという意味では、ここが一番戻ります。工程ごとの重さはSAPコンサルがしんどいと感じる工程に整理してあります。

隣の領域に関わるとき、どこまで広げるか。 全部を勉強し直す必要はありません。FIにいるなら、数字が入ってくる手前(購買・販売)に1回だけ関わってみる。そこで初めて「なぜこの伝票がこの形で飛んでくるのか」が分かります。私自身は、これで仕事の見え方がかなり変わりました。

決める場に入るとき、何を持っていくか。 手ぶらで会議に出ても席は動きません。動くのは、その場で誰も持っていない材料を出したときです。現場の担当者に事前に聞いておいた実際の手順、過去案件で同じ論点がどう決着したか。判断そのものではなく、判断の材料から入るほうが早い。

単価を落とさずに、担当範囲を広げる順番

ここが、この記事のいちばん実務的な部分です。

範囲を広げようとすると、**多くの人が「新しいことをやるので、いったん安く受けます」という形に入ります。**これは、かなりの確率で戻れなくなります。

理由は、独立でも社内でも同じです。一度下がった値は、その人の相場として固定されるからです。単価の作られ方そのものはコンサルの単価はどう決まるかSAPコンサルの単価に書きました。

落とさずに広げるには、順番があります。

順番1:いまの範囲の値段を先に固定する

先にやるのは、広げることではなく守ることです。

自分がいま何を任されているかを、工程と領域の言葉で1枚に書き出す。「FI担当」ではなく、「債権・債務の設計と、月次締めの設定、稼働後1か月の問い合わせ対応」という粒度です。

これを先に持っておくと、次の交渉で「今の範囲は据え置き、そこに足す」という話ができます。持っていないと、新しい範囲の話が入れ替えの話になります。

順番2:いまの案件の中で、隣に半歩だけ出る

次は、外に出るのではなく中で動く

  • 自分の工程の、すぐ後ろの工程に1回だけ入れてもらう
  • 隣の領域の設計レビューに、聞く側として出る
  • 稼働後の問い合わせを、1か月だけ引き取る

ここは金額の話をしません。実績を作る区間だからです。目安として、私は1つの案件の中で1回と決めていました。2つも3つも足すと、本来の範囲が薄くなります。

順番3:広がった範囲を、次の契約の言葉にする

半歩出た結果を、次の更新か、次の案件の入口で言葉にします。

ここで効くのは、やったことの説明ではなく、持てる範囲の説明です。「移行も見られます」ではなく、「移行のうち、残高の移行設計と、初回の試行の結果の読み合わせまで持てます」。範囲が具体的なほど、相手は自分の穴と照合できます。

この照合の話は、独立側の書類でも同じです。独立コンサルのスキルシートは、発注側のどこを見られているかに書きました。

順番4:段を1つ上げる交渉は、範囲が増えた直後にする

値の話を切り出すのは、範囲が増えた直後です。半年後ではありません。

半年経つと、増えた範囲は「その人が普通にやっていること」になります。増えた直後なら、前と後ろの差がまだ両者に見えている。ここが唯一の窓です。

交渉そのものの進め方はコンサルの単価を上げるにはに分けてあります。

この順番で行くと、退屈はどこで消えるか

正直に書くと、順番2の途中で消えることが多いです。

つまり、単価が上がる前に手応えは戻ります。逆に言えば、**手応えが戻ったところで満足して順番3・4をやらないと、範囲だけ増えて値が据え置きになります。**これは、この記事でいちばん伝えたいことです。

退屈を理由に、取ってはいけない3つの手

最後に、私が見てきた範囲で後から効いてくる手を3つ挙げます。

1. 面白そうな新製品・新領域に、看板ごと乗り換える

つまらないときほど、新しい名前が魅力的に見えます。ただ、乗り換えると、いまの領域で積んだ深さが値段に載らなくなります。

足すのは構いません。乗り換えるなら、いまの領域の値段が下がっても数年持ちこたえられるかを先に見てください。

2. 「つまらない」を、そのまま辞める理由にして外に出る

独立すると、自分で案件を選べるようになります。ただし**選べるのは、来た話の中からです。**来る話は、いま持っている範囲で決まります。

つまり、**範囲が固まったまま外に出ると、外でも同じ範囲の話しか来ません。**退屈は、独立では解けません。むしろ、退屈な案件を断れない時期が最初に来ます。独立して売れる経験の作り方はSAPコンサルとして独立するときに売れる経験に書きました。

行き先を「辞める・移る・独立する」で比べる話はSAPコンサルがしんどいと感じる工程の後半にあります。ここでは繰り返しません。

3. 退屈な作業を、黙って人に渡す

繰り返しの工程を人に渡すこと自体は正しい動きです。ただ、渡し方を間違えると、範囲が減っただけになります。

渡すときは、渡した分と同じ量を、前か後ろの工程から取る。これを同時にやらないと、次の更新で「担当が減った人」として扱われます。

年齢と、退屈の関係を1つだけ

40代前後で「つまらない」と言い始める人が多い、という実感が私にはあります。

ただ、これは飽きたからというより、同じ席に長くいると、3つの出どころが全部そろうからだと思っています。工程が固まり、範囲が固まり、決める場は上の人が持っている。

年齢そのものの話はSAPコンサルは何歳まで働けるかコンサルは何年目まで働けるかに分けてあります。ここで言いたいのは1つだけで、席が固まってからの時間が長いほど、動かすのに要る力は大きくなるということです。

まとめ

  • **つまらないは、しんどいの軽い版ではない。**しんどさは引き算で減るが、つまらなさは引き算では消えない
  • 見分け方は1つ。稼働が半分になる1か月を、楽しみに思えるか
  • 退屈の出どころは3つ。(1)同じ工程の繰り返し (2)担当範囲の固定 (3)判断に関われない立場
  • 3つそろっているなら、(3)から手を付ける。(1)と(2)は席が外側にあることの結果として起きていることが多い
  • 効かない手は、出どころを取り違えたとき。案件を変える/資格を増やす/質を上げるは、それぞれ別の出どころにしか効かない
  • 範囲を広げる順番は4つ。(1)いまの範囲の値段を固定する (2)案件の中で隣に半歩出る (3)持てる範囲の言葉にする (4)増えた直後に段を上げる交渉をする
  • **手応えは(2)で戻る。**そこで止めると、範囲だけ増えて値は据え置きになる
  • 取ってはいけないのは、看板ごとの乗り換え/退屈を理由にした独立/退屈な作業を黙って渡すこと

つまらないと感じている時期は、外から見ると何も起きていません。休職にも退職にもならないし、評価も下がらない。だから誰も気づかないまま、年だけが増えます。

ただ、この状態は放っておくと**動かすのに要る力が毎年増えます。**やることは、来月の予定を1行だけ変えることです。後ろの工程に1回入る。隣の領域の会議に1回出る。決める場に、材料を1つ持っていく。

いまの範囲と単価を一度整理しておきたい方は、30秒の独立準備度チェックから入ってみてください。登録は要りません。

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出典:退屈の出どころ3つ、効く手と効かない手、範囲を広げる順番は、筆者がSAPの財務会計の導入に携わり、外部の人を受け入れて任せる範囲を決める側にもいたときの観測にもとづく整理です。人数を数えた統計ではなく、他社の評価や発注の基準を示すものでもありません。狙いキーワードの検索需要は Google Search Console の実測(2026-09-11取得・直近28日=2026/08/12〜09/08)で、表示2・平均掲載順位34.0・クリック0でした。表示数が小さいため、需要の大きさそのものは確認できていません。当社の広告アカウントは検索広告を停止しており、キーワードプランナーからは実数ではなく範囲しか取得できません。

※本記事は筆者の実務経験と当社の社内記録にもとづく整理です。契約内容や担当範囲の変更は個別の事情で結論が変わるため、実際の交渉は所属先や契約の相手方とご確認ください。