「このまま今の仕事を続けて、10年後に何が残るんだろう」——そう考えて検索したあなたに、まず正直に言います。未経験からSAPコンサルになる道は、たしかに開いています。私自身、早稲田の商学部からアビーム、アクセンチュアを経て独立し、今は自分の会社の代表として大企業の経理・財務改革に入っています。専門はSAPの財務会計、現場ではFI(エフアイ)と呼ぶ領域です。その私が、夢の話ではなく、最初の一歩から独立までの現実的な道のりを書きます。年数も年収も、控えめに、盛らずに。読み終えたとき、自分の現在地が少しはっきり見えるはずです。

そもそもSAPコンサルとは|会計を「動かす」業務システムの専門家

まず言葉から。SAPとは、大企業の業務をひとつにまとめて動かす業務システムのことです。会計、購買、在庫、人事——会社の中を流れるお金とモノを、一本につないで管理します。SAPコンサルは、その仕組みを企業に合わせて設計し、入れて、回るようにする仕事です。私が専門にしているFI(財務会計)は、その中でも一番「お金そのもの」を扱う中核にあたります。

誤解されがちですが、SAPコンサルはプログラマーとは少し違います。設定や調整で手を動かす場面はありますが、本質は「業務を理解して、それをシステムに翻訳する」こと。たとえば、ある会社が決算を10日で締めたいと言う。なぜ今は20日かかるのか、どの作業が人の手に残っているのか、それをSAPでどう自動化するか。これを描くのがコンサルの中身です。だから、コードより先に会計や業務の知識が効いてきます。

ここが、未経験の人にとって希望になる部分です。「ITが得意じゃないから無理」ではない。むしろ経理や業務の現場を知っている人ほど、入り口で有利になることがある。私が現場で本当に頼りにしてきたのは、最新の技術に詳しい人より、「この処理、現場ではこう困るんですよ」と言える人でした。

なぜ未経験・経理経験者がSAPコンサルに向いているのか

SAP 未経験からこの道に入る人を、私は何人も見てきました。そして確信しているのは、向き不向きは「経歴」より「資質」で決まる、ということです。地味な検証を厭わない人。相手の業務を分かろうとする人。決まった通りにやらず「なぜそうなっているのか」を問える人。こういう人は、確実に伸びます。

とくに経理 SAPの掛け算は強い。経理を実務でやってきた人は、仕訳が分かる、勘定科目が分かる、月末や決算の苦しさを身体で知っている。これはSAPの設計をするうえで、本当に大きな武器です。私自身、現場で経理出身のメンバーに何度も助けられました。彼らは「この設定だと、現場の経理担当が毎月泣くことになりますよ」と気づける。技術者にはなかなか見えない視点です。

では、まったくの未経験——営業や販売、別業界からの転身ではどうか。道は閉じていません。会社の数字に興味が持てるか。人の話を聞いて整理するのが苦じゃないか。そこさえあれば、会計の知識は後から積めます。私が見てきた中で伸びなかったのは、知識が足りない人ではありません。「自分のやり方」に固執して、相手の業務を学ぼうとしなかった人です。差はそこに出ます。

未経験から学ぶべきこと|会計の基礎と「業務の翻訳力」

では、SAPコンサル 未経験で最初に何を学ぶか。順番が大事です。私がすすめるのは、いきなりSAPの操作を覚えることではありません。土台は会計です。簿記でいえば3級から2級くらい——仕訳、試算表、貸借対照表(資産と負債の一覧)と損益計算書(もうけの計算書)がどうつながるか。ここが分からないままだと、SAPの画面を触っても「今、何をしているのか」が分からず、ただ手が動くだけになります。

次に、業務の流れそのものを知ること。請求書が来てから支払うまで、売上が立ってから入金されるまで、会社の中で何が、どの順番で動くのか。難しく考えなくていい。要は、お金がどう流れて、誰が何を確認しているか、です。この地図が頭にあると、SAPの設定が「なぜこの形なのか」と腹落ちします。

SAPそのものの学習は、その後で十分です。最近はクラウド版が主流になりつつあり、新しく入れる場合はGROW with SAP(みんなで共有して使うパブリッククラウド型)、既存の大企業の刷新はRISE with SAP(自社専用に近いプライベートクラウド型)という形で語られます。ただ、未経験のうちから製品の細部に詳しくなる必要はありません。会計と業務の翻訳力が先。ツールの知識は、現場に入れば一気に伸びます。

現場で本当に起きること|きれいごとでは済まない話

ここからは、求人広告には書かれない本音です。SAP導入の現場には、正直しんどい時期があります。私がPM(プロジェクトの責任者)としてFI導入を率いたとき、一番苦しかったのは技術ではありませんでした。人と人の間に立つことです。経理部は今のやり方を変えたくない。IT部門はシステムの都合を譲らない。経営は早く安く終わらせろと言う。その三つの板挟みの、ちょうど真ん中にコンサルが立ちます。

本番稼働——システムを実際の業務で動かし始める日——の前後は、特に張り詰めます。ある案件では、稼働した直後に決算の数字が一部合わず、深夜まで原因を追ったことがありました。どの伝票がどう流れたか、一件ずつ、生のデータで辿る。派手さはまるでない、地味な確認作業の連続です。でも、ここで逃げずに最後まで詰めきれるかが、コンサルの信頼を作る。私はこの「逃げない」を、何より大事にしてきました。

だから、楽な仕事だとは言いません。けれど、終わった後に残るものは確かです。「あの会社の決算は、私たちが入れた仕組みで回っている」。この手応えは、他ではなかなか得られません。手に職、というのは、こういう実感の積み重ねのことだと、私は本気で思っています。

何年でどの段階に行くか|SAPコンサルの成長の道筋

気になるのは「どれくらいで一人前になるのか」でしょう。あくまで目安で、人によって差は大きい。そう前置きしたうえで、私の実感を書きます。最初の1〜2年は、先輩の下で設定や検証を担当しながら、会計とSAPの両方を身体に入れる時期です。ここは正直、下積みです。地味な作業の中で、業務とシステムのつながりを掴んでいく。逃げ場のない時間ですが、ここで土台ができます。

3年前後で、一つの領域——たとえばFI(財務会計)——を任せてもらえる人が出てきます。お客さんと直接話し、要望を聞き、設計を提案する。ここまで来ると、自分の言葉が現場を動かし始めます。さらに経験を積むと、プロジェクト全体を見るPMの役割が見えてくる。ただ、これは数年では届かないこともあります。人によります。焦らないことです。

年収については、控えめに、目安として書きます。未経験スタートだと、最初は月60〜75万円ほどの幅から始まることが多く、経験と任される範囲が広がるにつれて上がっていく、というのが現実的な見方です。ただし保証はしませんし、案件や会社で大きく変わります。数字を鵜呑みにしないでください。最後にものを言うのは、「自分が今どの段階で、何ができるか」を自分の言葉で語れることです。それが、結局いちばんの値打ちになります。

そして独立へ|会社員のうちに準備しておくこと

私がこの記事で一番伝えたいのは、ここです。SAPコンサルは、独立を現実的に考えられる数少ない専門職のひとつだと、当事者として思っています。私自身、アクセンチュアを辞めてNever Redという会社を作りました。怖くなかったと言えば嘘になります。布団の中で何度も計算しました。それでも、現場で積んだFIの専門性が、独立してからも確かに私を食わせてくれました。

独立を見据えるなら、会社員のうちにやっておくべきことが三つあります。一つ、専門領域を一本、深く掘ること。「何でもできます」より「FIならこの人」のほうが、独立後はずっと強い。二つ、現場で得た信頼を、人の縁として残すこと。仕事は、最後は人から来ます。三つ、お金まわりの基礎を自分で握ること。会社員のうちは見えない税や経費の現実を、早めに知っておく。

ただ、独立は誰にでもすすめるものではありません。一人で立つことには、向き不向きがはっきりあります。だからこそ、いきなり飛び出すのではなく、「自分は今どの段階にいて、独立まで何が足りないのか」を冷静に見ることから始めてほしい。準備のない独立は、ただの離職です。順番を、間違えないでください。

まず、自分の現在地を知ることから

ここまで読んで、「自分はどこからこの道に入れるんだろう」と思ったなら、その気持ちこそ正しい入り口です。まったくの未経験なのか、経理の経験があるのか、いずれ独立まで見据えているのか——スタート地点が違えば、踏み出す最初の一歩も変わります。一般論は、あなた自身の答えにはなりません。

私たちが用意している「タイプ診断」は、30秒ほどの質問に答えるだけで、今のあなたがどの段階にいて、次に何をすべきかの目安が分かるものです。煽るつもりはありません。ただ、闇雲に動き出す前に、自分の現在地を一度はっきりさせておくことには、確かな意味があります。

結果を見て、もう少し具体的に道のりや学び方を知りたくなったら、その先はLINEで一歩ずつお伝えしています。私が現場で見てきたこと、未経験から入った人がどう伸びていったかを、一般論ではなく実感として届けるつもりです。同時に見られる人数は絞っていますが、その分、あなたの現在地に合わせて話せます。まずは30秒、現在地を確かめるところから始めてみてください。