節税というと「経費をたくさん積む」ことだと思われがちですが、独立して実際にやってみると、効く順番があります。順番を守らずに経費だけ膨らませても、税務署に否認されるリスクが上がるだけ。私は導入PMを経て独立し、自分の申告でこの順番を試してきました。この記事では、独立後に効く節税を「やる順」で並べて、正直な効き目とともに渡します。

1|まず青色申告で「控除の器」を作る

最初にやるのは、節税テクニックではなく青色申告です。複式簿記+e-Taxで最大65万円の所得控除。何もしなくても課税所得を65万円下げられる、いちばん確実な一手です。開業届と一緒に青色申告承認申請書を出していれば使えます。ここが土台。ここを飛ばして先へ進む意味はありません。

2|経費を「正しく」按分する

次が経費です。ポイントは「多く積む」ではなく**「事業に関係する分を正しく計上する」**こと。自宅兼事務所の家賃、通信費、電気代は、事業に使う割合で按分します。たとえば自宅の一室を仕事場にしているなら面積比、通信費なら使用時間比、といった合理的な基準で分ける。事業関連性の説明がつかない支出を無理に入れるのは、否認されたときに追徴と加算税を招くので割に合いません。線引きの原則は「税務署に理由を言えるかどうか」です。

3|小規模企業共済とiDeCoで所得控除を積む

器と経費を整えたら、次は掛金が全額所得控除になる制度を積みます。

  • 小規模企業共済:個人事業主のための退職金制度。掛金は月1,000〜70,000円で、全額が所得控除(年間最大84万円)。将来の退職金を積みながら、今の税金を下げられます。
  • iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金が全額所得控除。老後資金を運用しながら節税できます。

この2つは「支出」ではなく「自分への積立」なので、お金が出ていって終わりではありません。手元から資産に移し替えながら課税所得を下げる——独立者にとって効率のいい一手です。

4|消費税は「2割特例」と簡易課税を確認する

インボイス登録をした人は、消費税の納税額を売上税額の2割に抑えられる2割特例が使える期間があります(対象期間に注意)。それ以降や対象外なら、簡易課税を選ぶと業種ごとのみなし仕入率で計算でき、実務も負担も軽くなる場合があります。自分の業種の率と、原則課税とどちらが得かは、年商が見えてきた段階で一度試算しておきましょう。

5|法人化は「所得が安定して増えてから」

最後が法人化です。課税所得が数百万円を超えて安定してくると、法人税率との差、役員報酬による所得分散、社会保険の扱いなどから、法人化が有利になる分岐点が見えてきます。ただし設立コスト・社会保険料・記帳の手間も増えるので、単年の利益がたまたま出たから、で走るものではありません。器(青色・共済・iDeCo)を埋めきってから検討するのが順番です。

節税は、派手なテクニックより順番です。青色 → 経費の適正化 → 共済・iDeCo → 消費税の選択 → 法人化。上から埋めていけば、無理なく、否認リスクも低く、手元に残るお金が変わります。