会計ソフトを使えば、青色申告決算書は自動で出てきます。だから書き方を知る必要はない——と思っていた年に、私は貸借対照表が1円合わない状態で3月14日を迎えました。

自動で出るものほど、合わなくなった瞬間に打つ手がなくなる。どの数字がどのページから来ているかを一度でも手で追っておくと、そこが直せる場所に変わります。

まず4ページの地図を持つ

一般用の青色申告決算書は4ページです。1〜3ページが損益計算書とその内訳、4ページ目が貸借対照表という構成になっています。

ページ中身性格
1ページ目損益計算書(売上・売上原価・経費・専従者給与・青色申告特別控除・所得金額)集計結果
2ページ目月別の売上金額と仕入金額、給料賃金の内訳、専従者給与の内訳、貸倒引当金、青色申告特別控除額の計算内訳
3ページ目減価償却費の計算、利子割引料の内訳、地代家賃の内訳、税理士等の報酬の内訳内訳
4ページ目貸借対照表(期首と期末の資産・負債・元入金)残高

1ページ目だけが結果で、2・3ページ目はその材料です。材料を先に作らないと、結果は書けません。

順番は2→3→1→4

紙の順に上から書こうとするから止まります。実務の順番はこうです。

  1. 2ページ目で月別の売上と仕入を並べ、人を雇っていれば給料賃金と専従者給与の内訳を書く
  2. 3ページ目で減価償却費を計算し、地代家賃・利子割引料・税理士等の報酬の内訳を書く
  3. 1ページ目に、2・3ページ目で出た金額を転記して損益計算書を完成させる
  4. 4ページ目の貸借対照表を作る

3ページ目の減価償却費は、1ページ目の経費欄に転記する数字です。先に3ページ目を作れば、1ページ目は写すだけになります。地代家賃も同じ構造です。

4ページ目を作らないと、控除は10万円に落ちる

ここが金額に直結します。

青色申告特別控除は10万円・55万円・65万円の3段です。55万円と65万円には、複式簿記で作った貸借対照表の添付が要ります。4ページ目を空欄にして出せば、その時点で10万円です。

65万円にするには、55万円の要件に加えて、仕訳帳と総勘定元帳を優良な電子帳簿として保存するか、期限までにe-Taxで送信するかのどちらかが必要です。軽いのは後者で、手続きの中身はe-Taxでの確定申告のやり方にまとめました。

差額は55万円分。埋めない理由がありません。

期首欄が斜線になっている3つの箱

4ページ目を初めて作る人が必ず引っかかるのがここです。

事業主貸・事業主借・所得金額の期首欄には、金額を書きません(用紙では斜線が入っています)。この3つは期末に元入金へ吸収されて消えるので、1月1日の時点では存在しないからです。

会計ソフトを2年目から使い始めた人が、前年末の事業主貸の残高をそのまま期首に入れて貸借が合わなくなる——これがいちばん多い事故です。期首に持ち込むのは元入金の1本だけ。仕組みは事業主貸とはに書いています。

詰まりやすい欄を、先に潰しておく

減価償却費(3ページ目)。「未償却残高」を前年の決算書から引いてくる欄があります。前年分が手元にないと止まるので、去年の決算書を先に机に出しておく。10万円未満で経費にしたもの、少額減価償却資産の特例で一括にしたものは、書く場所が変わります。

**地代家賃(3ページ目)。支払先・物件・年間の支払額に加えて、「うち必要経費算入額」**を書きます。自宅兼事務所なら按分後の金額です。ここに書いた割合が、按分の根拠を説明する第一声になります。考え方は家事按分家賃を経費にするに分けました。

**専従者給与(2ページ目)。**届出を出した金額の範囲内か、実際に払っているか。青色事業専従者給与の要件を満たさないと、経費そのものが落ちます。

**月別売上(2ページ目)。**12か月の合計が1ページ目の売上と一致しないまま出す人がいます。ここがずれていると、他も疑われます。

提出前の3点チェック

紙でもソフトでも、出す前にこれだけ見ます。

  1. 2ページ目の月別売上の合計=1ページ目の売上金額になっているか
  2. 1ページ目の所得金額=4ページ目の元入金の増減と整合しているか(翌年の元入金=前年末の元入金+所得金額+事業主借−事業主貸)
  3. 4ページ目の期末の資産合計=負債・資本合計になっているか

3が合わないときは、たいてい事業主貸・事業主借の付け間違いか、期首残高の入れ間違いです。売上や経費を触る前に、そこから疑ってください。

まとめ

  • 青色申告決算書は4ページ。1ページ目が結果、2・3ページ目が材料、4ページ目が残高
  • 書く順番は2→3→1→4。材料を先に作れば、1ページ目は転記だけになる。
  • 4ページ目(貸借対照表)を作らないと控除は10万円。55万円・65万円には必要。
  • 事業主貸・事業主借・所得金額の期首欄は書かない。持ち込むのは元入金1本。
  • 減価償却の未償却残高は前年の決算書から。地代家賃は按分後の金額を書く欄がある。
  • 出す前に、月別売上の合計・元入金の整合・貸借の一致の3点を見る。

青色申告そのものの流れは青色申告のやり方に、ソフトの選び方は会計ソフトの選び方にあります。個別の判断は国税庁の手引きか、顧問の税理士で確認してください。